鵠沼通信

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カテゴリ:読書( 2 )


2011年 08月 06日

捕物帳

最近の通勤のお伴は時代小説である。それも捕物帳。
学生時代から岡本綺堂の半七捕物帳は繰り返し読んでいるのだが、それ以外には特に手をだしてはこなかった。
捕物ものはテレビ化されると極めて通俗的に表現されてしまいがちなので、原作を読もうという気にさせなかったからである。
最近、たまたま押川国秋の十手人を読み、次に日下伊兵衛シリーズを一気に読んでなかなかおもしろかった。
宮部みゆきの本所深川ふしぎ草紙の回向院の茂七も魅力的である。
在庫を仕入れるため本屋によると、捕物ものは女性作家が多いことに気がついた。
平岩弓枝、今井絵美子、宇江佐真理、北原亜以子をジャケ買いならぬ表紙買いしててきたが、どなたの物が面白いかは読んでみてのお楽しみである。
だんだんとしらない作家を手にとることが少なくなってきたが、こんな買い方ができるのも、Bookoffのおかげである。
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by hon-kugenuma | 2011-08-06 18:25 | 読書 | Comments(0)
2009年 09月 27日

蒲生邸事件

作者 宮部みゆき

あらすじ
大学受験に失敗した孝史は、予備校の試験のため平河町一番ホテルに宿泊していた。そこは二・二六事件の夜に自決した蒲生元陸軍大将の邸跡に建つホテルだった。
孝史は、そこでひどく陰気な男をみかける。
その夜ホテルは火事になり、逃げ遅れた孝史は死にかけたところを、その陰気な男に助けられた。しかし二人が火事から逃げ出した先は昭和11年2月26日の蒲生邸であった。
男は平田と名乗る時間旅行者だったのである。平田はその時代の蒲生邸で、使用人として生きていく準備を既に整えていた。
孝史はそこで住込み女中の少女ふきと出会う。
二・二六事件の夜、蒲生大将は自決する。しかし自決に使ったはずの拳銃が消えていた。厳戒体制のため邸は孤立しており、中にいたのは蒲生大将の弟の嘉隆、後妻の鞠恵、息子貴之、娘珠子、女中のふきとちゑ、そして平田と孝史であった。
自決か他殺か、消えた拳銃の謎を探るうちに孝史は、平田がなぜ二・二六事件から続く暗い時代に生きようと決めたのかを知る。
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SF、を読んだのは何年、いや何十年ぶりだろうか。戦前を時代背景とした広瀬正の「マイナス・ゼロ」を彷彿とさせる語り口はひどく懐かしさを感じさせるものであった。
学生のころ、SFが大好きで、古本屋でSFマガジンを50円か100円か、いくらであったか良く覚えていないが買い求めては読みふけったものである。星新一、小松左京、筒井康隆などの大御所の作品も面白かったが、豊田有恒、広瀬正の作品にはより情感が感じられたように覚えている。
早世した広瀬正にはあまり多くの作品が残されていないが、その中でもマイナス・ゼロは最も印象的で大好きな作品であった。
その後、SFはスペースオペラやファンタジーものが多くなり、次第に読むこともなくなった。
さて、蒲生邸事件であるが、宮部みゆきの作品を読んだのはこれがはじめてである。 二・二六事件を背景とした時間旅行ものとの記載にひかれ、もしやと思って手にとってみた。 もしやとは、マイナス・ゼロの世界が甦るのではという期待であったが、その期待はかなえられた。
マイナス・ゼロほどの複雑精密なプロットではないが、戦前の時代背景が丁寧に描きこまれた映像的な作品である。 ふきとの出会いと別れは胸を締め付けるものがあり、ジュブナイル小説的な語り口も広瀬正のそれを彷彿とさせるものであった。
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by hon-kugenuma | 2009-09-27 00:59 | 読書 | Comments(0)